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撥の家

House – NONPARALLEL

 

非平行な花道

建築の現場では、平行ではなくハの字になっていて低精度なことを「撥【バチ】っている」と呼びます。これは敢えてバチっている2枚の壁を主体にすることで、高精度な暮らしを獲得した住宅です。

この住宅を計画するにあたり、次のことが課題として挙げられました。①旦那さんにとって窮屈でないこと、②南北に長い敷地での採光方法、③建築可能な床面積に対してオーバー気味な必要諸室、です。特に旦那さんは元アマ力士であり、一般的な住宅の規格に当てはまらない大らかさが求められました。

これらに対し、幅・高さに伴って役割も変化するバチった2枚の壁からなる空間構成と、壁の間を縫うように展開するライフスタイルを提案しました。具体的には、バチの空間が採光や通風、動線、構造といった屋台骨を担っており、それ挟むように部屋を配置し、大小の開口により用途を重ね合わせています。

壁の角度を少し変える些細な操作が空間にイントネーションを生み、家族や敷地にジャストフィットする住宅としました。

 

「バチっている」は三味線を弾くために使う撥【バチ】に由来しています。壁間の幅に依存するように、空間の用途がグラデーショナルに変化します。

 

敷地は戦後の農地改革の払い下げによって生まれた古い集落の端にあります。そのため周囲は不整形な宅地や農地、くねった道路や用水が絡まるように密集しつつも、のどかな農村風景が広がっています。ボリュームや仕上げは、そのような周辺環境に馴染むように決定していきました。

DATA

  • 竣 工
    | 2021. 12
  • 所在地
    | 富山県滑川市
  • 用 途
    | 住宅
  • 構 造
    | 木造 平屋建
  • 延床面積
    | 128.26㎡(38.80坪)
  • 構造設計
    | なわけんジム 名和研二
  • 施 工
    | 大野創建
  • 写 真
    | dotDUCK(株)